2017年 06月 08日

【連載】子どもの語彙力をのばしたい先生へ。すぐに実践できる活動アイデア集〈第3回〉「たくさん」を大人っぽいことばで表そう

この連載では、図書館用図書『光村の国語 この表現がぴったり!にていることばの使い分け』を使った、簡単に実践できる語彙指導のアイデアを紹介しています。
 
◆『光村の国語 この表現がぴったり!にていることばの使い分け』とは◆
語彙力・表現力を高める「にていることば」(類語)の使い分け絵辞典です。
子どもたちが日常で使うことばを手掛かりに、意味のにていることばの中から、より自分の気持ちや考えにぴったりな表現を探すことができます。
たとえば、「はずかしい」ということばを引くと、「照れくさい」「赤面する」「顔から火が出る」などがあります。 それぞれの語に、日常に近い用例とイメージしやすいイラスト、使い分けに関するわかりやすい解説がついているので、自分の使いたいことばを見つけ、適切に使いこなすことにつながります。
巻頭のページでは、子どもたちが言語活動を通じて、ことば選びの大切さに気づく様子をまんがで紹介しています。

「たくさん」を大人っぽく表すには、どんなことばに言い換えればいい?

6月に入りましたね。
5月は、連休や遠足、運動会など、子どもたちにとって思い出になるイベントが目白押しだったことでしょう。
そういったことを作文の題材とすることも多いですね。

しかし、子どもたちが書いた作文の中に、うまく伝わらない部分がありませんか。
例えば、数が多いことを「たくさん」や「いっぱい」だけで表すと、漠然としていてどんな様子だったかが伝わりにくい文になります。
読み手によって、捉え方が変わってしまうかもしれません。
子どもたちは、自分が体験した驚きや感動をそのまま書き表しているつもりですが、伝わらないともったいないですね。

そこで、今回は子どもたちが見たものや感じたことを、少し背伸びをした表現を用いて、より読み手が想像しやすいように伝える活動を紹介します。

第2巻4・5ページ「『たくさん』は卒業! 大人っぽいことばを使ってみよう」を参考に、表現を言い換える練習をしてみましょう。 
 
このページには、「たくさん」ということばを漢語や程度を表す言い方にすることで、表現が大人っぽくなることを実感するという内容の短いまんがを掲載しています。
せりふの中で赤い文字で示したのが、「たくさん」を言い換えたことばです。

まず、このページを電子黒板やプロジェクターなどで大きく投影して、子どもたちに示します。(この記事の最後で、PDFのダウンロードができます。)
 
このまんがは、「たくさん」を言い換えると、大人っぽくなるというきっかけで話が展開しています。
まんがを通じて、さまざまなことばを使いこなせることが、大人っぽくて魅力的なことであると認識させましょう。

次に、右図の「たくさん」が何度も使われた日記の例を提示します。(この記事の最後で、解像度が高い画像のダウンロードができます。)
 
この文章を読んで、どのように思ったかを聞いてみましょう。
子どもたちは、これまでの流れから、「たくさん」ではなくもっと他のことばがいいのではないかと気づくと思います。
そこで、ひとつひとつの「たくさん」について、お隣どうしや班でどんなことばにすれば伝わりやすい文章になるかを話し合います。
 
ことばがなかなか浮かばないようであれば、『にていることばの使い分け』の本を参考にしてもよいでしょう。
「たくさん」の似ていることばは、第2巻56ページ「『多い・少ない』のなかま」にまとまっています。

何人かに発表をしてもらい、挙がったことばについてさらに考えさせると、ことばがもつ「表現を豊かにする力」を実感できます。
 
また、語彙が少ない低学年の子どもたちには、「~のように」「~のような」という言い方もおすすめです。
簡単な比喩表現に言い換えるのであれば、そこまで抵抗なく取り組むことができます。
比喩を用いることで、表現がぐっと豊かになります。

「たくさん」「いっぱい」などは、よく使うことばですが、意味も広く、文脈によってさまざまな解釈ができます。
他人に伝えるときに、うまく伝わらなかったり誤解が生じたりしないよう、場面に応じてことばを使い分けられるようになると、文章を書く力の向上にもつながることでしょう。

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