2016年 12月 16日
年賀状を書いて言葉の力をつけよう!
12月中頃になると、年賀はがきの引受が始まります。
親しい人やお世話になった人、遠方に住む人に、年賀状を書く季節ですね。
年賀状は日本の文化

新年の挨拶として年賀状を出すことは、日本の伝統的な文化です。
その歴史は古く、平安時代の学者藤原明衡が著した手紙の模範文例集「雲州消息(明衡往来)」の中にも、年始の挨拶文の例文が収められています。
明治4年の郵便制度開始、明治6年の郵便はがきの発行開始により、はがきを使った年賀状を送ることが習慣として広く定着しました。
明治32年には一部の郵便局で、一定の期間に差し出された年賀はがきを新年に配達する「年賀郵便物特別取扱」が開始されました。現在も行われている仕組みの始まりです。この仕組みによって、それまでは元旦の年始回りを済ませてから送っていた年賀状を、12月中に投函する人が多くなったのです。
年賀状が昔から、大切なコミュニケーションの手段として親しまれてきたことがわかりますね。
年賀状から学べるいろいろなこと
年賀状を書くのは、日本の伝統的な文化を体験するいい機会です。
それだけでなく、年賀状を書くことから学べることはたくさんあるのです。
ぜひ、子どもたちに年賀状を書かせてみましょう。
はがきの書き方をまずは身につける

あて先の書き方の見本
文化庁が行った平成26年度「国語に関する世論調査」の「年賀状などにおいて、印刷されたものと手書きが加えられたものとではどちらが良いと思うか。」という質問で、87.6%が「手書きされたものや手書きが一言加えられたもの」がよいと答えました。
パソコンからの印刷や、メールやSNSといった便利な手段が増えていますが、手書きの年賀状の良さを感じている人はたくさんいるようです。
一方、平成21年に実施された小学校6年生を対象とした「全国学力・学習状況調査」では、はがきの表書きの書き方を問う問題の正答率が67.1%でした。
普段、あまり手紙やはがきを書くことがなく「あて先ってどう書けばいいの?」という不安を感じている子どもが少なくないことがわかります。
年賀状を書くこの機会に、まずははがきの正しい書き方を身につけさせましょう。
はがきを使ったコミュニケーションを円滑にするためにも、マナーを守った正しい書き方を知っておくとよいですね。
受け取る人も、自分の住所がきちんと書いてあればうれしくなるでしょう。
ちょっとした疑問から言葉や文化への興味につなげる

この動物たちはいったい……?
年賀状に添える言葉には「新春」「迎春」のように「春」という漢字の入るものがありますね。
「どうして冬なのに「春」がつくのだろう?」そんな疑問をきっかけに、漢字辞典で「春」という字を調べてみてもよいでしょう。季節の春という意味だけでなく、「年の初め」という意味もあることがわかります。
また、「年賀状によく使われている動物の絵は何なのだろう?」「なぜ「鳥」ではなく「酉」と書くのだろう?」といった疑問もあるかもしれません。干支についてや、昔の年の表し方などについて知るいい機会になりますね。
他にも、独楽・羽子板・福笑い・七福神・門松など年賀状に描かれることの多い題材を使って、日本の伝統的な遊びや縁起物について調べることもできます。
年賀状から、さまざまなことに興味を広げていきましょう。

年賀状を書く練習ができる
『あかねこ冬スキル』では、実際の年賀はがきと同じサイズの枠を示したページを設けており、自分だけの年賀状を書いて練習することができます。
ぜひご参考にしてみてください。
- 参考文献・URL
- 『―人と人の心を結ぶ―年賀状の歴史と話題』逓信総合博物館、 1996年。
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