2017年 11月 02日

豆知識✏世界の数字を見てみよう

世界ではどんな数字が使われているのだろう?

私たちは、主に1、2、3、のような「アラビア数字(算用数字)」と、一、二、三、のような「漢数字」を用いて数を表しています。
一方、世界の他の地域を見てみると、これらの他にも、言語や文字に特有の数字があるということがわかります。
では、これらの数字はどのようにして生まれたのでしょうか。
実際に、世界ではどのような数字が使われているのでしょうか。
数字の世界を探検してみましょう。

「アラビア数字」の歴史とアラブの謎

私たちが使っている「アラビア数字(算用数字)」は、実はアラブで生まれたものでも、アラビア語に使われるものでもありません。
アラビア数字の原型が生まれたのは、今から約2300年前、現在のインドでのことです。
この頃、1から9までの数を表す9つの数字ができ、加えて約1400年前には「0」という概念と数字が考え出されます。

そして、これらの数字がアラブに伝わり、さらにヨーロッパにまで広まり、今から約500年前に現在のようなアラビア数字ができあがりました。
それ以来、ヨーロッパの人々が「アラブから伝わった数字」という意味でこれらの数字を「アラビア数字」と呼んだことから、今でもその呼び方が使われているのです。
では、アラビア語では、どのような数字が使われているのでしょうか。
現在、アラビア文字でアラビア語を表す際には、独特の数字が用いられています。

アラビア文字を読み書きする際は、右から左に進んでいきますが、数字の箇所だけはアラビア数字と同じように左から右に進みます。
これは、インドから伝わった数字がもともと左から右へ読み書きするものであり、その方法をアラビア文字にそのまま取り入れたためと言われています。
なんだか不思議な話ですね。

中国で生まれた「漢数字」と「蘇州号碼」

▲数を表す指数字

私たちは、縦書きで数字を書くときに「漢数字」を用いることが多いですね。
漢数字は、中国で数を表すために使われているジェスチャー(指数字)や、古代の甲骨文字が元となって生まれました。
また、中国で生まれた数字には「蘇州号碼(そしゅうごうま)」というものがあります。
中国で「蘇州碼子(スージォウマーズ)」「花碼(ホァマー)」などとも呼ばれる数字です。

▲蘇州号碼を読んでみましょう

これは「算木」という計算器具の並べ方から派生したもので、1から3の数字を連続して使うときは大きい位から縦、横、縦というように書きます。
読み間違いをなくすための工夫でしょうか。
日本でも、江戸時代中期から明治時代初期にかけて、和算家や医学者、蘭学者、軍学者に普及し、薬商人の間では符帳として用いられていました。
現在は、中国でも日本でも使われなくなってしまいましたが、香港とマカオでは今でも飲食店などでよく使われています。

時計などに使われる「ローマ数字」

右のような文字盤の時計を見たことはありますか?
このI、V、Xなどのアルファベットを使った数字は、古代ローマ帝国で生まれたため「ローマ数字」と呼ばれており、次のようなルールがあります。
  ①左から右に向かって、大きな位から順に、たし算のようにして表す。
  ②同じ文字は4回以上並べない。
   例えば、3は「III」と記すが、4は「IIII」ではなくひき算としてとらえ、「5-1」
   という意味で「IV」と表す。9についても同様に「IX」と表す。40や90なども
   「50-10(XL)」「100-10(XC)」と考える。
このルールがわかれば、ローマ数字盤の時計を一目で読むことができ、「MM X VII(2017)」「C XL IV(144)」のような少し複雑なものも読めるようになりますよ。

一の位,二十の位……?「マヤ文明」の記数法

▲足し算のように組み合わせて数を表します

16世紀頃まで現在のメキシコ南部の辺りに存在したマヤ文明では、数を表すために右のような文字が用いられていました。
この「マヤ数字」は、1を表す丸、5を表す棒、20を表す文字や0を表す文字から成っています。
これらの文字が組み合わさって、足し算のようにして数が表されていました。
また、2や6など、丸が1つか2つしか用いられず空白ができてしまう場合には、さまざまな形の装飾が用いられました。
(右図では、Cのような形のものを使って装飾を表しています。)
他にも、丸や棒に模様が施されたり、それぞれの数の守護神が描かれたり、手の込んだ書かれ方をしているのが一般的だったようです。
まるで絵のようですね。

では、以上の図を参考にして、左の3つのマヤ数字を読んでみましょう!
①には、丸の他に装飾が施されているので注意してください。
正解は①6、②10、③ 29です。いくつ読めましたか?


いろいろな数字や数え方を調べてみよう!

▲左から1、2、3、4、5を表します

今回ご紹介した以外にも、「ヘブライ数字」や「タイ数字」など、世界にはさまざまな数字が存在します。
また、数の数え方も言語や地域によってさまざまです。
いろいろな数字の種類や起源を調べたり、実際に読み書きしてみたりすると、数の世界に、さらには算数の世界に興味を持つきっかけになるかもしれませんね。

参考文献
  • 江川金五『かなつき廣東語会話』大阪屋号書店、1939年。
  • 欧米・アジア語学センター『中国語会話 すぐに使える短いフレーズ』高橋書店、2004年。
  • 駒場中国語教育研究会編、楊凱栄、 吉川雅之、 張麗群著『基础汉语』白帝社、2010年。
  • 城地茂、劉伯雯、張澔「『三才発秘』(陳Wen、1697年)と『阿蘭陀符帳』: Napier's Bonesの日本伝来」『数理解析研究所講究録』第1787巻、京都大学、2012年、pp. 105-115。
  • 日本数学教育学会研究所『算数好きな子に育つたのしいお話365』誠文堂新光社、2016年。
  • 町田和彦『ふしぎ?おどろき!文字の本② 世界の文字』ポプラ社、2011年。
  • マイケル・D・コウ、マーク・ヴァン・ストーン(猪俣健 監修、武井摩利 訳)『マヤ文字解読辞典』創元社、2007年。

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