2016年 05月 16日
どこまでOK? 学校での著作権問題
意外と身近な著作権

子どもたちが調べ学習をした結果は、レポート、壁新聞、ポスターなどなど、いろいろな形でまとめられ、授業で発表されています。
ところが、明らかに本や図鑑などの情報の一部をそのまま書いているのに、出典や参考資料の記載がどこにもない、なんてことはありませんか?
これでは、せっかくまとめた内容の信頼性を疑われてしまうばかりか、「盗作だ」「著作権の侵害だ」と言われても、反論できなくなってしまいます。
子どもの作るものに、そんなに難しいことを言わなくても、と思ってはいけません。
なぜなら、その「子どもの作るもの」にも著作権があるのですから。
自分が一生懸命作ったものを、他人に勝手に使われたり、その人の作品であるかのように発表されたりしたら悲しいのは、子どもだって同じはず。
だれもが簡単に情報発信をできる時代だからこそ、どんな作品にも「著作権」があることを伝え、「他の人の作品を使うときのルール」についてきちんと理解させておきたいですね。
上手に正しく「引用」しよう
他の人が書いたり作ったりした作品を勝手に使うのはダメといっても、作者(著作権者)が友達や知り合いでもない限り、許可を取るのは大変ですよね。
でも、「引用」をするのなら、作者(著作権者)の許可がなくても大丈夫。
引用をするときには、次の4つのことに気をつけましょう。
- 引用する元の文章をそっくりそのまま書くこと。
引用の場合、元の文章の表記を変えてはいけません。本や資料に書いてある内容を自分の言葉でまとめなおす場合は、要約といいます。要約の場合も作者(著作権者)の許可はいりませんが、どんな本や資料を参考にしたのかを示す必要があります。
- どこからどこまでが引用した範囲なのか、はっきりわかるようにすること。
引用部分を「」でくくったり、他の部分よりも2・3字下げて書いたりします。
- 出典(もともとどんな本や資料に書いてあったことなのか)をはっきりさせること
引用部分の前後で本や資料のタイトル(必要に応じて作者名やページ数も)を示しておき、レポートなどの最後に、「参考文献」などとして、本や資料のタイトル、作者名、出版社名、発行年を記載します。なお,引用以外にも参考にした資料があれば「参考文献」として挙げておきましょう。
- レポートなどを書く上で、必要な分だけ引用すること。
引用した文章や資料は、あくまで自分の考えや主張を述べるための材料や補足でなければいけません。引用するのは、レポートなどの内容に直接関係のある最小限の範囲にとどめましょう。引用した文章が作品の中心になっていて、自分の文章がほとんどない、というのではいけません。

教科用指導図書の『みんなが書ける! あつめて、まとめて、書く技術』、『情報活用 調べて、考えて、発信する』でも、引用のルールを取り上げています。
実際のレポートなどの例も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
先生が教材として使うときは?
「授業で使うプリントに市販の本をコピーして使いたいけど、大丈夫?」ということ、ありますよね。
著作権法の第三十五条第一項によれば、学校の授業の教材や資料として使う範囲であれば、著作権者の許可がなくても複製は可能、ということになっています。
ただし、次のような場合は著作権法違反となってしまいますので、お気をつけください。
- 授業をする人や受ける人以外(授業を参観した人など)にコピーを配布する。
- 授業に必要な範囲を超えてコピーする。
- 授業をする人と受ける人の数以上の部数をコピーする。
- 書籍1冊をまるごとコピーする。
- 副教材など、児童全員が購入して使用することを想定されているものをコピーする。
コピーして使ってもよいかわからない場合や不安な場合は、発行元の出版社などに確認すると安心です。
また,日本書籍出版協会では,次のようなガイドラインを公開しています。合わせて参考にするとよいでしょう。
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